NPO法人九州定期借地借家権推進機構では、去る10月21~22日に大阪視察研修を実施しました。
視察したのは、兵庫県明石市のビレッジガルテン大久保フェスタ(総戸数27 戸)と、大阪府箕面市のビレッジガルテン小野原西
両団地を手掛けられたシティサイエンス株式会社(大阪)のご協力で実現しました。
同者のビレッジガルデン事業は“緑と人の共生による健やかな暮らし、そして真に豊かな暮らし”をテーマに、
いつまでも緑豊かな環境とコミュニティが育つ環境づくりに取り組まれています。
一般的な分譲団地とは全く異なる街づくりに触れた参加会員の感想を原文のままご紹介します。
視察報告
- 専務理事:江見様
シティーサイエンス社の小坂氏・宮本さんの先導の下、明石市大久保物件と箕面市小野原西物件の2ヶ所を視察いたしました。
両物件とも優れたランドスケープと、住民の皆さんのコミュニティー作りに熱心に取り組まれた結果から、とても素晴らしい出来栄えの物件であると感じました。
実際に現地にお住まいの住民の方とお話をさせていただく機会がありましたが、「文教施設・利便施設等に近い上、団地内のコミュニティーもとても良い環境にあり、住んで良かった」ととても喜んでおられたのが印象的でした。
このようなライフスタイル重視の作品をお造りになられておられるシティーサイエンス社の志向には共感するものが多かったと思います。
九州でも是非、同様のライフスタイル重視の考え方、住民の皆様が喜ばれるコミュニティー作りを進め、優れた定借案件を成功させたいものだと感じた視察でした。 - 理事:小倉様
=== 百聞不如一見 百見不如一考 百考不如一行 ===
※発想を変えねば価値観も変わらない?
所有権と定借の決定的相違点は「問題の先送り」かも知れない。
今まで我々分譲開発業者は後年ユーザーにトラブルを遺さぬように、 真面目に開発分譲を企画してきたつもりだが、定借事業者の言を借り れば「50年間の定借期間に発生するかも知れない想定外の問題は、 居住し続けるユーザーの叡智で解決を図って戴く」とのこと。
そこで「共有による共生」と云うキーワードの一つに漸く辿り着いた。
※コモンと定借の相性
従って所有権を互いに主張し合って、狭い敷地を更に狭くするような 境界ブロック等は作らずに、共有地を皆で利用や管理する事を通して、 地域コミュニケーションが自然発生し、街が醸成されていく姿を目の 当たりにする時「問題の先送り」の意味が少し理解できた気がする。
※在るがままの自然起伏
今迄我々分譲屋はフラット&スクエアの価値観から脱却出ない為に、 起伏や法面等を放置できず、擁壁や間知ブロック等で土留め工事施工 せねば絶対に売れないと思い込んでおり、また後年隣地間のトラブル が遺らぬものと信じ込んでいたのは一体何だったんだろう。
※接道義務の金縛り
2項道路、位置指定、見なし道路等々、建築基準法や開発行為の接道 義務に30数年もいじめ抜かれ、販売面積の歩留まり率の事業計画を 立案する頭からは、強烈な旗竿地形で敷地延長ばかりの宅地開発構想 は全く思い浮かばず、参加者の瞳から鱗の落ちる音が確かに聞こえた。
※ライフスタイルの提案
今回の定借事業は家や土地を売ると云ったハードではなく、生活様式 や新しい価値観をも含めて提案するソフト産業と云った印象でした。
ユーザーのみならず行政や金融機関まで巻き込んで、従来の開発分譲 や不動産的発想からは大きく逸脱した「住む人が主役の街造り」は、 大変参考になったところです。皆々様に衷心より感謝申し上げます。
三和ホーム宮崎株式会社 代表取締役 小 倉 和 彦
- 会員:三好不動産 澤田様
『V.G.明石大久保』
~周囲に道路が回る横長の地形をうまく利用し、共通の中庭も高低差をそのまま生かした構成で、住人みんなが集うに十分でした。
しかし、横長の地形から先端の借地人は庭から遠いためかかわりが希薄になるとのこと。
ご担当者も言われていましたが、コミュニティーの構成は10件以下がまとまりやすいとのことでした。
また、地主様が神社ということも有り、長期に渡る借地にご理解が深いと感じられました。『V.G.小野原西』
~こちらは、区画整理が完了したばかりのきれいな街並みでした。
周辺の住宅地は60万円/坪の価格で、大きく立派な家やスーパーなどが立ち並ぶエリアでした。
この物件は、周辺との価格GAPが魅力となる構成で、やはり子育て世代の人たちには大変魅力的なものでした。『総括』
~定期借地はその土地の表情にあわせ、コンセプトとターゲットを明確にし
商品創りをする必要性をあらためて感じました。 - 会員:ネクステップ 西様
ターゲットの絞り方についてと、販売後の対処については大変参考になりました。
ターゲットについては、明確に「この層」といういものが見えて計画されている様で私たちも実務をするなら、福岡の土壌に合ったコンセプトを持たねばならないと再認識いたしました。
箕野市物件に関しては、価格勝負できる地域で、明石は付加価値を付けた区画で勝負と持っているコンセプトの違いを感じました。